大判例

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東京高等裁判所 昭和47年(ネ)1879号 判決

なお控訴人は、本件土地の値上りを待って転売することを目的としてこれを買う契約をしたのであり、これを他に売却することにより得べかりし利益を喪失したと主張するが、売買契約が有効に成立したにも拘らず、売主の債務不履行により買主が履行を受けていたならば得たであろう利益を喪失したという場合と異なり、本件においては、井上一富の欺罔行為により控訴人としては締結すべからざる契約を締結したというのであるから、もともと約旨どおりの履行を求めることは考えられず、従って右欺罔に因る損害は本件土地売買契約を締結したこと自体による損害にとどまり、当然右契約が約旨どおり履行されなかったことによる損害は含まれないと解するのが相当である。

よって控訴人の右主張はその余につき判断するまでもなく失当である。

四、次に控訴人は、債務不履行による損害を主張するので検討する。前記認定事実によれば、井上一富と控訴人間に締結された本件土地売買契約は、いわゆる他人の権利の売買と解すべきではなく、本件土地が売主たる井上一富の所有であることを前提として締結されたものであるところ、右契約当時、本件土地は客観的には土屋五の所有であり、土屋了は当初から所有権を有せず、同人から本件土地を買受けた井上一富もまたその所有権を取得する術を有しなかったのであるから、前記売買契約の内容は、締結当初から客観的に不能というべく、従って契約は無効である。よって控訴人は、消極的な信頼利益はともかく、積極的な転売利益による損害までも請求することはできないというべきである。

(石田哲 小林 関口)

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